東京高等裁判所 昭和24年(新を)380号 判決 1949年12月17日
被告人
幸田作次
主文
本件控訴はこれを棄却する。
理由
弁護人市毛哲夫外二名作成の控訴趣意第二点について。
本件公訴は要するに被告人が判示山林内にあつた玄米を窃盜したという事実が所謂罪体をなすものである。然るに起訴当時においては被告人が判示山林内にあつた判示玄米三俵を窃取したものとして起訴したものであるが審理の進行に伴い該玄米は三俵でなく六俵であり且つ犯行は被告人が該玄米を発覚の前日判示農業協同組合倉庫から窃取したものであることが明白となつたから所論のような日時、場所、俵数等を変更したに過ぎないものである。而して犯罪の日時、場所、数量の如きは所謂罪体に属しないから判示玄米を被告人が窃取したという罪体そのものには何の変更もないから本件訴因の変更は起訴事実の同一性を害するものでない。論旨は理由ないものである。